幸せな地域に
おらが大槌夢広場/移住定住事務局
2011年に活動を開始したおらが大槌夢広場の一部門として、2021年に移住定住事務局が発足。移住・定住の促進にむけた企画の立案のほか、関係人口の創出、地域おこし協力隊の採用・制度運用の設計などに取り組む。移住促進の先にある“大槌で暮らす人たちの豊かな暮らしの実現”を掲げて活動中。
幸せな地域に
おらが大槌夢広場/移住定住事務局
2011年に活動を開始したおらが大槌夢広場の一部門として、2021年に移住定住事務局が発足。移住・定住の促進にむけた企画の立案のほか、関係人口の創出、地域おこし協力隊の採用・制度運用の設計などに取り組む。移住促進の先にある“大槌で暮らす人たちの豊かな暮らしの実現”を掲げて活動中。
大槌町に興味を持つ人たちと地域とをつなぐ結び目、それが一般社団法人おらが大槌夢広場「大槌町移住定住事務局」です。地元採用メンバーと地域おこし協力隊が、それぞれの得意分野を活かし、“今、ここにいる人たちの幸せ”を第一に、さらに大槌に人を呼び込むために活動しています。
地域という土壌を耕し、
大槌の皆を幸せに
おらが大槌夢広場(以下、おらが)は、「人が人をそだて、人がまちをつくる」というビジョンを掲げ、東日本大震災の年の11月に町民主体で発足した団体で、震災伝承の活動や若者の人材育成などに取り組んできました。現代表の神谷未生さんは、名古屋市出身の移住者。2012年から団体の運営にかかわり、2018年から代表を務めています。
おらがが移住定住事務局の業務を担うことを決めた背景には、移住者である神谷さん自身の経験がありました。「海外での生活が長く率直に物を言ってしまいがちな私が大槌に溶け込めたのは、おらがという土台があって、彼らを通して地域との関係性ができたから」と振り返ります。一方で、復興や地域づくりへの思いを持って来た人たちが志半ばで去っていく姿もたくさん見てきたと言う神谷さん。「ソトから来た人が活きるかどうかは、地域との関わり方次第」という思いを深めていきました。
移住者という“種”が、地域という“土壌”で芽を出し成長するには、土壌を耕し続け、豊かにしていく努力が欠かせない。そして“豊かな土壌”とは、大槌で暮らす人たちの幸せそのものに違いない。そんな信念があるからこそ、移住定住事務局は“移住”の促進だけでなく、移住者が地域に適応するために伴走し、定住につなげるサポートに取り組んでいるのです。常に「大槌で暮らす人たちがより幸せに暮らし続けるために必要なものは何か」を問い続けています。
地元メンバーと
地域おこし協力隊の混合チーム
2021年4月に地域おこし協力隊事務局業務を開始、半年後から移住定住事務局としての活動がスタートしました。当時は、神谷さんと、新たに採用した地元採用の女性2名の小さなチームとしてスタート。住民と同じ感覚を持ち、地に足の着いた活動をしていくために、地元雇用にこだわりました。そこに、事業立ち上げの即戦力として加わったのが、伊藤将太さんです。
伊藤さんは、同じ岩手県内の内陸部にある北上市の出身。仙台や東京のコンサルティング会社で新規事業の立ち上げやプロジェクト開発を経験した後、地域振興を得意とする企画制作会社を経て、大槌町の地域おこし協力隊という道を選びました。大槌に来る前は、岩手県内の一般社団法人で移住促進などの地域振興に関する事業の企画開発を担当し、県内外の移住促進や関係人口づくりの取り組みに詳しい伊藤さん。大槌町の地域おこし協力隊を選んだ理由は、「移住定住事務局の立ち上げ」という活動のミッションに惹かれたから。
着任早々、事務局業務の本格稼働にむけた体制づくりや、移住定住WEBメディア「ココカラオオツチ」の開設、次年度の地域おこし協力隊募集にむけた企画、採用プロモーションなどを次々と進めていきました。さらに新たな地元メンバーや地域おこし協力隊も加わり、空き家・空き地バンクの運用、関係人口コミュニティの企画運営、地域での新しい働き方を提案する「特定地域づくり事業協同組合」設立にむけた準備など、従来の「移住定住支援」という枠組みにとらわれない発想と企画を軸に、大槌の暮らし全般の情報を集め、その魅力の発信や秘めた可能性の開拓に取り組んでいます。
一方で、移住早々、神谷さんのつないだ縁でアパートの大家さんから耕作放棄地となっていた土地を借りて、仲間たちと畑づくりに取り組むなど、個人としての取り組みも楽しんでいる伊藤さん。町内の農家さんがトラクターで手伝いに駆け付けてくれたり、畑作業をしながら大家さんのお母さんとついつい話し込むことも。「震災を経験した大槌は、支え合い、助け合う風土があると感じています」と実感しています。
「誰もが想いを実現できる」を
つくる、それが事務局の役割
メンバーそれぞれが必要だと思うことや得意なことを担うのが移住定住事務局のスタイル。出勤時間も自由で、リモートワークも可能という働き方で、それぞれが情報収集や企画、デザイン、SNS発信などを担当しています。
地域おこし協力隊として地域の仕事にまつわる業務を担当する谷村優布子さんは「決まりごとがなく自由だからこそ、メンバーは皆、何のために目の前の仕事に取り組んでいるかが明確。地元メンバーから教わることがたくさんあります」と充実感を感じています。
事務局では、オンラインでの移住相談を随時受け付けていて、日々さまざまな相談が寄せられます。「大槌でハンターになりたい!」といった具体的な相談もあれば、漠然と地方での暮らしに興味がある、という人からの相談も。相談対応を担当する伊藤さんは、「今はやりたいことが明確ではない人も、いずれ大槌でやりたいことを見つけて、パズルのピースのように大槌という土地のピースにピタッとはまれば良いなあと思います。そのためのサポートをしていくのが、移住定住事務局の役割です」と理想像を描いています。
4つのパズルのピースをモチーフにした「ココカラオオツチ」のロゴマークには、事務局メンバーのそんな願いが込められています。(2022年5月取材)