ココカラオオツチ

コロナ禍の飲食店に活気
名物店主たちの新たな挑戦

美魔女会

原則、月1回開催。メンバーの店が持ち回りで会場になり、参加費3,000円でおつまみが付いて飲み放題。周年行事や季節の行事は、おしゃっちのホールで大々的に開催し、メンバーたちによるフラダンスや参加者による出し物、ビンゴなどの余興も人気がある。

美魔女会
美魔女会
コロナ禍の飲食店に活気
名物店主たちの新たな挑戦

美魔女会

原則、月1回開催。メンバーの店が持ち回りで会場になり、参加費3,000円でおつまみが付いて飲み放題。周年行事や季節の行事は、おしゃっちのホールで大々的に開催し、メンバーたちによるフラダンスや参加者による出し物、ビンゴなどの余興も人気がある。

「大槌の夜を元気にしたい」。コロナ禍でにぎわいが失われた飲食店に明かりを灯そうと自ら動き始めた経営者たちがいます。居酒屋、スナック、喫茶店の店主たちが企画する「美魔女会」はスタートからの月日とともに、新しいつながりが生まれる場に育っています。発起人の六串恵子さんが活動を思い立った背景には、東日本大震災から生まれたさまざまなつながりへの感謝の思いがありました。

美魔女会
おはぎ、もつ煮……<br />
老若男女が集って「乾杯!」

おはぎ、もつ煮……
老若男女が集って「乾杯!」

2023年の暮れも近づくある日の夕方、大槌町のおしゃっちに「かんぱーい!」の声が響きました。サンタの恰好をした人、トナカイの被り物を身につけた人……若い人からシニアまで70人近い人たちの熱気に包まれました。

会場中央に置かれたテーブルには、美魔女会メンバーの飲食店の看板商品が。喫茶店「夢宇民(ムーミン)」のおはぎ、居酒屋「七福食堂」のもつ煮、ほかにも唐揚げや焼きそばが所狭しと並びました。

この日は美魔女会2周年のアニバーサリー。参加者の中には、毎月開かれている美魔女会にすべて参加しているという常連さんもいれば、帰省のタイミングで参加したという一見(いちげん)さんも。美魔女会メンバーがステージに上がり、2年間の感謝の思いを伝えると、会場はひときわ盛り上がりました。

美魔女会が始まったのは2021年冬。町の中心部にある大槌〇〇横丁で居酒屋「味鮮」を経営していた六串さんが、町内のそれぞれのお店を贔屓にするお客さんが互いの店に足を運ぶきっかけを作れないかと思ったことがきっかけでした。

原点は東日本大震災<br />
支えられ、事業を軌道に
原点は東日本大震災<br />
支えられ、事業を軌道に

原点は東日本大震災
支えられ、事業を軌道に

長年、夫の正悦さんとともに水産加工業を営んできた六串さん。居酒屋を出店したとほぼ同時にコロナ禍が始まり、飲み歩く人の姿は町から消え、休業を余儀なくされる店も。「漁師が潤って、飲み屋が潤わなくちゃ、大槌町はどうにもなんねえべ!」。持ち前の行動力で飲食店の店主と声を掛け合い、活動に向けて動き始めました。

「飲食店同士が助け合って、にぎわいを取り戻したい」。六串さんがそんな思いになったのは東日本大震災がきっかけでした。岩手県内で同じように食品加工業を営む事業者や復興支援のために全国から大槌町に派遣されてきた職員たちから支えてもらってきたからだと言います。

今では、全国各地の百貨店やアンテナショップの催事場で威勢よく商品をPRする六串さんは“大槌町の顔”とも言える存在ですが、実は対面での販売を始めたのは震災後のこと。目の前のお客さんにどうやって自社の商品を紹介したらよいかも分からず戸惑うことの連続でした。

そんな時、PRの仕方や見栄えのよい商品の並べ方などを教えてくれたのが、催事会場でブースを並べた事業者たちでした。「色々な人たちに教えられたから、今の自分たちがある。だから周りの人たちのために自分にできることがあればやってあげたいなって思う。本当に感謝。感謝しかないよね」。その思いが美魔女会へとつながります。

つながりを生む美魔女会
つながりを生む美魔女会

つながりを生む美魔女会

六串さんは、顔見知りの飲食店の店主たちに思いを伝え、賛同した「チャリカフェ」、「ラリー」「のばら」の経営者とともに「美魔女会」を結成。初回の参加者は30人ほどでしたが、回を重ねるごとに参加者は増え、メンバーとして運営に回る飲食店は8店舗に。メンバー同士での意見交換も活発になり、それぞれの店の持ち味が発揮できるようになってきました。「縁あって生まれたつながりは財産」と横のつながりを実感しています。

美魔女会で知り合った人同士が連れだって二次会に繰り出したり、参加者がメンバーの店の常連になったり、さらに美魔女会での出会いが仕事につながったりと、さまざまな人と人との出会いを生んでいる美魔女会。最近は、知り合いから「次はいつあるの?」と聞かれることも増えました。

「お客さんも店主も皆が笑えればそれでOK」という美魔女会の面々。美魔女たちを囲むにぎやかな「かんぱーい!」が毎月、町のどこかの飲食店に響きます。
(2023年12月取材)

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