ココカラオオツチ

ピラティスで
「大槌を笑顔にしたい」

Naoさん

なお

2023年にUターンし、Pilates Studio 紫苑をオープン。instagramでは自宅でもできるエクササイズの動画を発信している。アイコンは2匹の愛犬がモチーフ。趣味はアニメやゲーム、東京に住んでいた時に始めたキャンプ。
https://www.instagram.com/
shion.pilates/

Naoさん
Naoさん
ピラティスで
「大槌を笑顔にしたい」

Naoさん

なお

2023年にUターンし、Pilates Studio 紫苑をオープン。instagramでは自宅でもできるエクササイズの動画を発信している。アイコンは2匹の愛犬がモチーフ。趣味はアニメやゲーム、東京に住んでいた時に始めたキャンプ。
https://www.instagram.com/
shion.pilates/

誰しも一度は憧れる都会での暮らし。でも、実際に暮らしてみると、満員電車や人混みになんだか疲れてしまう……そんな経験をしたことのある人は少なくないでしょう。大槌町出身のNaoさんはピラティスと出会ったことで自分自身の心と身体を見つめ直し、大槌に戻ることを決意。自分を救ってくれたピラティスで「大槌の人たちを笑顔にしたい」とスタジオを構えました。

Naoさん
地元にUターン<br />
リノベした物件をスタジオに

地元にUターン
リノベした物件をスタジオに

陽ざしがあたたかく注ぐ西向きの部屋。大槌町を流れる小鎚川に沿って開けた住宅街・桜木町の一角に、Naoさんの「Pilates Studio 紫苑」(ピラティススタジオ しおん)はあります。外から見るとどこにでもありそうな住宅。しかし中に入ると、白を基調としたモダンなカフェのような空間と、その奥には見慣れない形のマシンとベッドが置かれています。

Naoさんが地元大槌にUターンしたのは2023年。クラウドファンディングの力も借りてリノベーションし、その年のうちにスタジオをオープンしました。マシンを使ったマンツーマンレッスンのほか、町文化交流センターではマットを使ったグループレッスンも開催。40代前後の女性を中心に、丁寧で初心者にも分かりやすい説明とレッスンの効果が口コミで広がり、参加者も増えてきました。「レッスンが終わった後、皆さんが笑顔になっているのを見るとすごくうれしいですね」。柔らかな笑顔でそう語ります。

「健康的に働きたい」<br />
退職し出会ったピラティス
「健康的に働きたい」<br />
退職し出会ったピラティス

「健康的に働きたい」
退職し出会ったピラティス

今では自身のスタジオを持ち、ピラティスの“伝道師”となったNaoさん。ピラティスとの出会いは2018年にさかのぼります。県内の短大を卒業後、上京し、東京でライフライン関連の仕事をしていましたが、体調を崩し、適応障害という診断を受けました。

「もっと健康的に働きたい」との思いで退職。心身の健康を考えるために参加したヨガの説明会で講師から紹介されたのがピラティスでした。初めてのレッスンは「衝撃的」。「インストラクターの指示の通りに動こうとしても、身体が自分の思う通りに動かない……。自分の身体はこんなにもコントロールできないんだということに気づいて、衝撃を受けました」。

しかし、レッスンが終わってみると、不思議とすっきりとした気持ちになり、ピラティスを続けてみよう、そう決めました。

「ピラティスは第一次世界大戦で負傷した兵士のリハビリを目的に開発されたエクササイズ。『考えながら動く』ことをベースに、背骨を 一つ一つ意識しながら繰り返し動かすことによって、脳に背骨の正しい位置を記憶させ、自分の身体をコントロールできるようにしていきます」。自身も適応障害によって心と身体が思うようにならない辛い状況だったからこそ、治療を目的に始まったピラティスに共感したのです。

マシンもマットも基本的な考え方は共通。深い呼吸とともに背骨を意識しながらゆっくりと筋肉を動かすことで、正しい姿勢を取ることが習慣になり、交感神経と副交感神経のバランスが整うことによってメンタル面への効果も期待できると言います。

ピラティスを始める前は、周りと自分を比べてしまうことが多かったというNaoさんですが、「ピラティスを続けるうちに、自分自身の心と身体に意識を集中できるようになり、人と比べなくても、自分が楽しく生きられればそれでいいんだな、と思えるようになりました」。

ピラティスが心身にもたらす効果を実感したNaoさんは、インストラクターを志し、マットとマシンを使ったエクササイズを教えるために必要な資格の取得に向けて、学びを深めてきました。

震災を忘れず、<br />
地元を元気にしたい
震災を忘れず、<br />
地元を元気にしたい

震災を忘れず、
地元を元気にしたい

「ピラティスを広めたい」。自分を救ってくれたピラティスを広げる拠点に選んだ場所は地元・大槌でした。もともと大槌が好きで、「いつかは帰ってこよう」と思っていたNaoさん。東京にいても、東日本大震災によって大きな被害を受けた地元がずっと気がかりで、ピラティスを始める前から何らかの形で地元のために活動したいと考えていました。

「町を車で走っていても、1人でポツンとしている人がいると気になってしまって……。大槌の人が笑顔でいるために、ピラティスでできることがあると思います」。

スタジオの「紫苑」は、「君を忘れない」「遠くにある人を想う」という花言葉を持つ「紫苑草」の名前から採りました。「震災があったことを忘れずに、でも前に向かっていこうという思いを込めました」。

ピラティスで健康に歳を重ねる人が増えてほしいと話すNaoさん。もう一つの夢はスタジオをレッスンの場としてだけでなく、誰でも気軽に立ち寄れる空間にすることです。「ちょっと元気をなくしている人もここに来たら元気になれる。そんなコミュニティの場になれたらうれしいです」。
(2024年1月取材)

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